第300回となる本日のモーニングセミナーは「農業と倫理」と題して研修副委員長の東村英幸氏(清和アグリス株式会社取締役営業部長)にご講演いただきました(参加者総数18名)。
東村氏は、高知市行川の農家に生まれ、小さい頃から親の手伝いで農業に自然に触れ、以来、高校、大学と農業一筋で育ちました。
「農業と倫理は似たところがある」という東村氏は、土つくりから、種まき、苗つくり、定植、管理、開花、結実、収穫という一連の農作業に照らし合わせて御自身のこれまでの人生とも掛け合わせて倫理への思いを語ってくれました。
大学を出て、始めに取り組んだのは、大川村(現土佐町)でのトマトの水耕栽培でした。大川村は過疎の村として知られる所で、当時の人口は約750人ほどでした。渇水の際には、早明浦ダムが干上がると、旧大川村役場の庁舎がダムの底から現れたというニュースが報道され話題になることで皆さんもご存知ではないでしょうか?
大川村は本当に小さく、不便な村でしたが、村の人は皆さん明るく、元気で、声を掛け合い、助け合うということが当たり前の、活気のある所という印象が強く残っています。
大川村に4年ほど暮らした後、高知に出て、現在の清和アグリス(株)に入社。最初は事務、営業などと全くの文字通り畑違いの仕事に戸惑いましたが、得意先である農家の人々が、自分の販売した肥料などの効果で良い収穫があったと喜んでくれる笑顔に触れ、営業の楽しさが判るようになりました。ところが今から4年ほど前、当時の社長が突然亡くなると、主要の取引先のメーカーとの関係がこじれ、社内も分裂という事態が起きました。この経験から仕入先の大切さと、なによりもお客様の大切さというものも深く実感しました。さらに社内での上司と部下の関係の重要性も認識しました。
その後、倫理と出会い、入会し、はじめはセミナーでの皆さんの元気に驚きましたが、人の話をすなおに聞き、実践してみる、それで良いか悪いかは判断すれば良い、という教えに納得し、「万人幸福の栞」の言葉には、自分自身に思いあたることが多く、気付きということも日々実感しています。
「作物には良い肥料が必要です。良い肥料を与えると良い作物が育つ。人も同じではないでしょうか。倫理の学びで人生をより実りの多いものにしたいものです。」
「高知県にとって農業の果たす役割は非常に大きいものがあります。農業の発展無くしては高知県に発展はありません。」と力強く、講演を結びました。
文責 村上勝則